『初めてのウィッグ』

ウィッグなんて初体験な私には、付け方が全くわからないし、
たくさんある巻き髪からどれを選ぶかも決められない。

「あの〜・・・。」

店員さんにも元気よく声をかけられないわたし。
さっと近づいてきた店員さんが、すかざず、

「ウィッグをお探しですか?」

こくんとうなずくしか出来ない。
まだ、なにをした訳でもないのに緊張していた。
戸惑うわたしを尻目に、店員さんは次々と袋から巻き髪を取り出し、
わたしの髪に合わせてくれた。先日、美容院で初めて髪を染めた。
真っ黒な髪から、ほんのり茶色に染まった。
なんとなく顔映りは明るくなった感じはあるが、
全体的な暗さはまだまだぬぐい切れていなかった。
店員さんが選んでくれたのは“ダークブラウン”のもの。
ただ突っ立っていたわたしの髪に、くるくるしたウィッグをつけてくれた。
びっくりするくらい華やかになったわたしが鏡に映った。

「お似合いですよ。」

あまりの変わりように、返って馴染めないでいたわたしが
そのことを伝えると、ふんわりカールの巻き髪をつけてくれる。
派手目の自分を見た後だから、違和感なく華やかになれたような気がした。
それからもいくつか試着?してみたけれど、2番目につけたウィッグが
一番似合っていたように思い、それを購入することにした。
わたしが不慣れなのをわかっていたからか、店員さんは丁寧に取り付け方を教えてくれた。